ゴッドタン「ヤバい若手芸人」とナイチンゲールダンス

話題になっていたのでメモ。

ブコメ見ると、ナイチンゲールダンスのヤスさんでは?となってる。お笑いは詳しくないけど、こないだゴッドタンで見たのでその時の感想含めて所感を。

ゴッドタン「ヤバい若手芸人」とは?

2013年9月からやってる、ジジイ芸人であるおぎやはぎ劇団ひとりに注目の若手芸人を紹介するコーナー。第1回目の冒頭で「若手が『こいつは天才だ!』と一目置かれる芸人」として紹介されたのは、三四郎の小宮さん。

この放送の直前に小宮さんは足を骨折して歯を折ってしまい、車いすで登場。ツッコミが全く機能していなかったけれど、レギュラー三人からの質問に対していちいちイライラするようなコメントを返し、小木さんからは「うるせえな」、矢作さんからは「すごいむかつく」、そして劇団ひとりさんから「悔しいけどすぐ売れると思う」と評価されました。スタッフの方からも評価が高かったようで、2カ月後に「第二の劇団ひとりオーディション」、その半年後に「スランプ芸人救済SP」でも声がかかり、それぞれしっかり結果を出して他の番組にも呼ばれるようになっていきました。

なお、第1回目の他にはセルライトスパルシファー吉岡、そしてのちにキングオブコントの王者に輝くライス、エル・カブキ、グランジ(佐藤)が紹介されています。そして第2回目にはおかずクラブが紹介され、しっかり爪痕を残した結果、こちらも他の番組に呼ばれるようになります。

2018年「ヤバい若手芸人」はどうだった?

さて、例のナイチンゲールダンスが紹介された2018年の「ヤバい若手芸人」ですが、「こいつは天才だ!」部門ではネガティブなネタが特徴の宮下草薙、「バラエティで売れそうな芸人」部門では3位があがすけ、2位がきしたかの、1位がEXITでした。

「見逃せない女芸人」部門2位がニッキューナナ、1位がソノヘンノ女、「とにかくヤバい芸人」部門2位はハナイチゴ(関谷)、そして1位が例のナイチンゲールダンス(ヤス)だったのであります。

宮下草薙はネガティブな発言がウケてましたが、きしたかのは出だしの声の大きさを誤ってしまい、しかもツッコミも噛んで、このコーナーの常連コメンテーターであるK-PROの児島さんに的確なダメだしをされてしまいます。でもこの番組では、こうした側面からキャラクターを見出される傾向が強く、ストレートにうまくいけば成功というわけでもありません。

あがすけはくりぃむナンチャラでも拝見したことがありますが、パリピっぽいビジュアルなのにツッコミどころ満載なんですよね。3回も繰り返しネタを披露し、最後にしっかり笑いを誘っていました。

そして今回の「ヤバい若手芸人」で一番の出世頭はEXIT。渋谷チャラ系芸人のはずなのですが、質問されても上手にチャラく答えられずあっさりと素の性格の良さが出てしまい、後半に登場したハナイチゴ関谷に対してひとりさんが「ぜったいEIXTに手を出すなよ!近づくな!」と釘を刺すくらい好感を得ていました。その後、すぐに「スナック眉村ちあき」に呼ばれてまたハマり、直後におはスタにも呼ばれるようになります(しかも連続で)。さらに「ジジイ芸人」にも呼ばれる快進撃。ひとりさんから「お前ら出来るもん」小木さんから「真面目だしね」と大絶賛でした(チャラ系キャラに対してのイジリもありますが)。

どちらも相方さんの不祥事で解散した背景から、コンプライアンスを厳守する安心感、しっかりしたネタ、ビジュアルの良さと好感度など、2019年は三四郎おかずクラブのようにあちこち呼ばれるのではないでしょうか。

ニッキューナナは、質問に対してトボけた回答をして小木さんに「うるせぇよ」、劇団ひとりさんに「俺、お前合わない」と評価されていました。これって三四郎小宮さんの時と同じような反応なんですよね。感触は良かったのではないでしょうか。ソノヘンノ女は、その安っぽい芸風がキャッチーだからか、その後も番組に呼ばれています。ハナイチゴは有田ジェネレーションでも評価されていましたし、この番組でも上手に立ち回っておられました。

ナイチンゲールダンスの所感

学生M-1優勝、学生R-1優勝、NSC主席の実力派でもあり、ヤスさんに対して「去年から今年にかけて一番噂になった若手芸人」「人を束ねる力がある」とK-PROの児島さんは紹介されていました。見るからに新宿スワンに出てきそうな尖った雰囲気です。

しかし、ヤスさん押しで出てきたはずが、挨拶直後の矢作さんの「尖ってる方?」という質問に対して、相方の中野なかるてぃんさんがガタガタ言い出し、「作りものみたいな顔してるね」と相方に流れが向いてしまいます。アルコ&ピースナイチンゲールダンスの武勇伝を披露し、ようやくゆにばーすの川瀬さんとのバトルについてヤスさんが見せ場を作れるところだったのですが、「ケンカっすよ死ぬまで」という本当に尖った対応に困る返しのみでした。やり取りまでリアル新宿スワンです。

その後はまた中野なかるてぃんさんがガタガタ口を挟んだおかげで、小木さんから「なんだよお前」と突っ込まれて中野さん中心で見せ場は終わってしまいます。1位だったのにネタの放送もありませんでした。キャラクターのPRはできたような気がしますが、お笑い芸人として「番組に呼びたい」と思われるかどうかというと、どうなんでしょう…というか、ヤスさんに面白い見せ場はなかったです。

今後は…

Note見ると、立ち回りの上手な方なんだなという印象を受けます。また、憧れる人がいるのも分かるような気がします。

 俺はNSCはネタの内容じゃなくて立ち回りで首席を勝ち取ったんだよ。

(中略)

大体何かを成す時には自己分析から入る。みんなもそうだよね?

ただやっぱり、「お笑い芸人として売れる」という観点で言うと、いまの尖り芸人のスタンスは難しいんじゃないかなぁと思うのですよね。

芸人さんの大御所であるとんねるずダウンタウンも、若い頃はとっても尖ってました。東京のスタイリッシュな“芸能人感”を帯びたとんねるず、熱狂的な人気の超実力者だったダウンタウンは、昭和のバブリーな時代の勢いに乗り、新しい若手芸人の台頭として視聴者に憧れを持って受け入れられました。怒鳴りながらカメラ機材壊したり、お客さんに罵声浴びせたりしてましたよね。

いまはテレビを見る人が減り、SNSスマホゲーム、YOUTUBEなど、手軽に気分が良く過ごせる方法を選ぶことができます。コンプライアンスにも厳しい時代なので、わざわざテレビ観てオラついてる出演者が出たら、視聴者は速攻でチャンネルを変えるでしょう。

若手で言うと、三四郎の小宮さんも「この若手~」に最初に出た時は“生意気キャラ”でした(尖りとはちょっと違いますが…)。2回目の「劇団ひとりオーディション」でもキャラを通そうとしていたのですが、素が出てしまって“童貞キャラ”をいじられることになります。この頃は他の番組でも言葉遣いが悪く、先輩に生意気な口を利いてましたが、だんだん角が取れて現在は真面目で毒舌のポンコツキャラとして重宝されています。

千鳥の大悟さんも昔はとても尖っていて、M-1の敗者コメントで「テレビに出るのはこれで最後かな~(ピースピース)」と対応に困る発言をして、その後オファーがまったくなかったそうです。大悟さん曰く、「テレビに出せないヤツだと判断された」とのこと。

現在の芸人さんのテレビでの活躍の場とは、主にロケかひな壇、先輩の番組のゲスト、そしてネタ番組です。ネタの面白さだけでなく、ロケで一般の方とコミュニケーションを取ったり、ひな壇や先輩の番組で場の流れと自身の役割を読んだ立ち居振る舞いが求められます。それには、先輩や番組制作者にも認められる必要があり、ただただ尖っているだけでは怖くて使うことができません。 

 

けれど、みんなが同じキャラクターになればいいという話でもないし、そもそも2年目でテレビに出られること自体、とても立ち回りが上手なのだと思います。オラオラを上回る圧倒的な面白さや、共感または応援したくなる“隙”みたいなものがあれば、尖りスタンスも受け入れられるのかもしれません。

もしテレビでも花を咲かせるのであれば、登場したゴッドタンのように、オラオラでカリスマ性があるというキャラ付けなんだけど、美味しいところは全部相方が持っていく、「あれ?」みたいなスタンスがいいのかな?

――ここまで書いていて気がついたのですが、「彼らのトリセツ」として番組の制作者がそういう編集をしたのかもしれませんね。