GIGAZINE「ある日突然自分の建物を破壊されて…」の真相

GIGAZINEの倉庫にしていた家屋がいきなり破壊されたそうです。

gigazine.net

とても衝撃的な話のようですが、本当にこんなことあるんでしょうか。当該記事でも書かれていましたが、いきなり昭和の立ち退きのようなことをこのご時世で行うとも思えません。

記事のどこにも「土地を所有している」とは書かれておらず、地上権のみのようです。当該物件の周囲が駐車場になっているので、この記事読むだけでもうっすらと地主の方と軋轢があったんじゃないかなと感じるのですが…。どちらの観点に立つかで、意見は変わるのかもしれません。

トラブルの発端は30年以上前に遡る

keisui.com

経緯は中の人のお母様がブログに記録されております。

会社と言っても、父がが経営していた商店であるが、父のこの建物に関しての取引は、私が結婚して家を出てからのことであるので立ち会ったことがない。しかし、実家に帰るたびに父は晩酌をしながら地主に関しての愚痴をくどくど話していたのをよく覚えている。

その内容は、「あの家は全部俺が金を払ったのに、地主は違うといって地代を払えと仕事場へやってきては客や従業員の前で言い続けた。それで根負けして地主にお金を払い会社の商品の倉庫として使っていた。弁護士に相談して話し合いをつけるつもりだ。」というものから、少し経つと「あの土地はやっと俺のものになる。正義は勝つ。」などと言って泣いていたのをよく覚えている。ガンで亡くなる直前には、「あの建物を使うときだけ地主の婆さんがうるさいから金を払ってやれ。使わないなら払う必要はない。」と言っていたのである。その時は何かよくわからないままに、いやいや愚痴に付き合っていたというのが事実であった。今にして思えば。もっと詳しく聴くべきだったと悔やまれる。後悔先に立たず。

今回の事件で法務局へ行って初めて知ったのは、「地上権の登記」ということと、「建造物の滅失登記」ということである。大事なのは書類だけで、書類さえ揃っていれば法務局は受けざるを得ないということであり、解体屋が建物を取り壊してしまうと地上権のない建物の権利はすべて消滅するということである。警察も法律に則って仲介の不動産会社が解体屋に依頼して作業をしていると言われれば止めることは出来ないということであった。事前に知らせようとしたが連絡が取れなかったというのが仲介会社の言い分であり、地主はこの建物は地代を払わないから返してもらったと主張する

お爺様は「地上権=地代は払わなくてもいい」と考えられていたのかもしれません。地主さんが地代を請求したところ、「根負けして」支払うようになった。さらに「使わないときは払う必要ない」とまで仰っていたようです。

地主さんは「地代を払わないから返してもらった」と主張していることから、現在も地代は支払っていないようです。

 

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昭和50年代だと、今とはかなり事情が違っていたらしい。それでも、地主と建物の所有者が違う場合、いくら28年間も売り主が住んでいたとはいえ建物だけを黙って売ることは出来ないので地主の許諾を取りに行ったそうである。建物だけの売買のこの場合、建物には地上権が付いていたという事であると契約書を作って売買に立ち会った司法書士は保証してくれた。


それでやっと父があんな小さな建物にかなりの金額を払ったことがよくわかったのである。地上権の登記は地主側にその義務があるが、買い主側は自分では出来ない。それで父は怒っていたのだということがわかった。
そこで父は、20年計画を立てて、20年後に登記してもらうことを地主と約束したようである。確信はないが、父の愚痴を聞かされていた限りではそうなるのかなあと思う。その後20年間、父は税金を払い火災保険をかけ続けたのである。地代も払えと地主から言われ、地上権を確保するためにそれも実行していたのである。そして、がんに侵されていたた父は、やっと20年目に言われるまま再びお金を払ったらしい
これでやっとこの土地の地上権を確実に手に入れたと思ったが父ではあったが、やはり地主は地上権の登録を無視したようである。ガンの末期にまで進んでいた父は、裁判をする気力もなく、その後まもなく他界してしまったのである。


父は最後に、その問題の不動産を寿命の長い私の息子に託したのである。あちらこちらに「この家は壊すな。この家は地主に返すな。」と書いたものが出てきて、実際にも私や息子に「この土地は永遠に俺のものだ。」と言いながらこの世を去っていったのである。

地主さんの見解が分からないので一方的ではありますが、この件は結局のところGIGAZINEの中の方のお爺様が、地上権付きの物件を28年住んだ第三者から購入したが、想定と違っていたというのが事の起こりではないでしょうか。

「かなりの額で」購入したのに、まさかの地代がかかる。でも上物にはかなりの投資をしちゃってる。税金とか火災保険もこっち払い。なにそれ?

――この怒りが「家は壊すな」「この土地は永遠に俺のもの」という呪いになったのだと思います。 

 

普通に考えると、土地は地主さんのものなので地代はかかりますし、上物にかかった固定資産税や保険料は所有者が払うのが当たり前ですが、この辺の認識の違いが、今回の騒動に繋がっているように思います。

地上権と地代の支払いをきっかけに関係がこじれる

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【地上権】
・地上権の場合は、絶対的な物権なので売買や相続や抵当権など一切地主との承諾はいらない。
法定地上権が認められる時には、土地の評価の6~7割の部分が法定地上権の部分として土地所有権の評価から減額され、建物の評価に加算される。
・取得時効を主張する場合、占有者は「所有の意思」に基づき、「善意」で、「平穏かつ公然」に占有していることを立証しなければならない。取得時効を主張する者は、20年間の取得時効の場合、その始めと終わりの時点において自分が占有していたことを、10年の取得時効の場合にはそれに加えて、自分に所有権があると信じたことについて不注意な点がなかった(無過失であった)ことを主張立証すればよい。

この3つの条件を、前の建物の所有者(27年間)も父(24年間)も孫(13年間)も満たしているのである。

 

この物件をお爺様が購入したのは37年も前の話のようです。

これは推察でしかありませんが、もともとは善意に基づいた契約だったのかなと感じます。地主さんに有利な賃借権ではなく地上権を選択している点や、地主さんの許諾なく物件の売買ができるにもかかわらず、物件の売り主さんは地主さんの合意のもとにお爺様との契約を進めています。売り主さんは28年も住んでいたそうなので、地主さんとの関係性は良好だったのではないでしょうか。

物件が建ったのは60年以上も前の話なので、常識の範囲内で緩やかな土地運用をしていたのかもしれません。地上権を設定しても、木造なのでいずれ壊れるしね、という認識だった可能性もあります。

 

お爺様が買った際に、地主さんが地上権の登記をしなかったことと、地代を払わなかったことをきっかけに、信頼関係が崩れていきます。ひょっとしたら、地主さんは売買契約時は地上権の登記をするつもりでしたが、何度も督促するまで地代を支払わなかったので、危うさを感じて地上権の登記をしなかったのかもしれません。

 

なぜ強硬手段に及んだのか?

家はGIGAZINEの中の方が相続されたとのことで、お爺様の教えを守り、壊すことなく13年間倉庫に使っていたようです。会話をすることなく強硬手段に至ったのには、この辺が理由のような気がします。

  • 地代を払っていなかった
  • 当時を知る地主さんが代替わりした
  • 話が平行線のままだった

物件所有者からすれば「何で壊したんだよ!」という話になりますが、地主からすれば「うちの土地だし地代払えよ」という話になるので、平行線のままです。

でもこれまでトラブルも一切なく、事前告知もなかったとのこと。

解体している家屋3つのうち、端の1つである持ち主さん(=編集長)とは連絡がつかなかった

と地主さん側は主張されています。他2つはトラブルになっていない点を考慮すると、本当に連絡がつかなかったのではないかとも思います。地代払っていたのに壊したら大問題ですが、13年間地代を払わず音信不通だった場合は、地主さんが気の毒です。

しかし地上権とは、売買も勝手にできますし、物件所有者に優しい法律ですよね。土地も売るくらいの価格で取引しないと、土地には固定資産税かかってきますし地主さんのメリットが薄いです。

時流から考えると…

空き家問題は深刻です。今回の物件もかなり古い木造住宅でしたが、近隣住民からすると、住んでいない古い家はやっぱり火事や地震の際に怖いものです。

そのため、これまでは上物があったほうが有利だった固定資産税も見直しが入っています。古い空き家は更地になったほうが安全だからです。

 

公共の観点で考えると、周囲を空き地に囲まれた物件を所有者の意地で倉庫として維持しているくらいなら、マンションや公園にした方が有効活用できるはずです。

お爺様から受け継がれた意思や、思い出の物件を強引に壊された怒りもあるかもしれませんが、土地の権利が地主さんにある以上、ほどほどのお金で落としどころをつけるのがいいように思います。築64年の木造物件なら、すでに償却は終わってますし。

 今どきは、人が住んでいない古民家相続して、売れないし壊すにもお金がかかって困っている方も多いです。お金をもらって壊してもらえるなら、それはそれで悪い話でもないのではないでしょうか。

藝大院生、モデルで銭湯絵師見習いの勝海麻衣さんに模写疑惑

定期的に話題になるトレース疑惑、今回は銭湯絵師見習いの勝海麻衣さんに注目が集まっています。

大正製薬「RAIZIN」サンプリング&ライブアートイベントで行われたライブペインティングの絵が、有名な絵描きさんの作品と酷使しているとのこと。

 確かに、骨格が不自然だったり、本来虎にはない胸元の模様が同じなので、確実に元絵にしているものと思われます。

これに対して、お詫びが表明されました。

 

 

 

勝海麻衣さんの経歴は?

藝大と言われることが多い勝海麻衣さんですが、実はご出身は武蔵野美術大学です。比較的入学しやすい学部に入り、有名国立大学の院に入るのは、大学名で箔をつけて活動している方のよくある手口です(慶応SFC→東大院、立命館→京大院など)。

美大在学中にモデル活動を開始し、2017年9月に銭湯絵師に弟子入りし、2018年に藝大大学院に入学。修行を始めて一年後に、いきなりたくさんの記事で取材を受けています。

ひょっとしたら、モデル活動しているうちに「話題性」が必要と考えて、日本で数少ない「銭湯絵師」という職業を選択し、箔をつけるために藝大院に進んだのかもしれません。本当に職業にしたいなら、学校に通わずそのまま仕事にすると思うからです(もちろん、同時並行で学び続けたいという気持ちがあった可能性もあります)。

 

実際、2019年には個展開催を実現したりなど、芸術家(またはモデル)として活動するには、知名度・話題性も重要な要素なのかもしれません。

なぜ他の人の作品を使ったのか

イベントの画像には、元になる絵を見ながら描いていることが分かります。

正直、プロとしてライブペインティングでお金をもらっているのであれば、猫将軍さんの画像じゃなかったとしても、手元の絵を参考に描くのはどうなんでしょう。修正不可能な状態で、自分のセンスと能力で一気に書くことが ライブペインティングだと思っていたのですが…。

武蔵野美術大学の空間デザイン学部だったのもあり、ライブペインティングできるほどの画力をお持ちではないのかもしれません。

また、当日まで何が描かれるか分からないイベントにはPR会社がするわけがないので、あらかじめ広告主にRAIZINに合ったイメージを提案していたはずです。RAIZINのブランドカラーに合わせて虎が描かれている点からも、先にデザインは決まっていたと思われます。

ここで、勝海麻衣さんが猫将軍さんの絵を提案したとしたら確信犯です。PR会社か広告主がどこからか猫将軍さんの絵を探してきて、勝海麻衣さんに「こういうの描いて」と言ったのだとしても、出どころを確認すべきだったと思います。

しかもそのまま描いちゃダメですよね。この辺の感覚がよく分からないのですが、ご本人が猫将軍さんの作品であることを知らなかったとしても、誰かの絵を広告主のいるイベントでそのまま描くってあり得ないです。

色味とモチーフだけ広告主やPR会社と握り、ご自身のイメージするものを描けばよかっただけだと思うのです。なんであんなに特徴的で、知名度のある方の作品をそのまま描いちゃったんでしょうか。

いずれにしてもこの結果になったのかも

モデル志望でご本人よりもスタイルがよく美しい人はたくさんいます。また、藝大出身で天才的な方もたくさんいる中で、「モデル×藝大×銭湯絵師」という掛け算の希少性で注目を集めた勝海麻衣さんですが、逆に言えばどれも中途半端ということかもしれません。

銭湯絵師はまだ一年、藝大は院1年、モデル活動もいわゆる本格的なモデルではありません。2018年秋から注目を集め、いろんなイベントに呼ばれ、個展を開き、モデル活動を行ってきた結果、芸術活動に集中する時間はなかったのではないでしょうか。特に絵画は持っている能力にプラスして継続的な磨き込みが必要です。インスタはモデル活動の写真ばかりですし、画力を磨く時間に割けないままライブイベントを受け続けていれば、模倣しなかったとしても、いずれ「あれ?評判ほどでは……」という結果になったのでは。

銭湯絵師としてのライブイベントの場合、評価できる人も少ないので問題なかったのかもしれませんが、芸術家としても実績を出したい、または注目されたい、と欲が出た時点で、いずれこういう結果を迎えたような気がします。

 

銭湯絵師の師匠がひたすら気の毒な案件でした。

 

「女芸人No.1決定戦 THE W 2018」所感

2018年の「女芸人No.1決定戦 THE W」を観ました。
NHKでたまに流れる「寒痛い空気」を感じる内容となっていたので、振り返ってみます。

出演者の感想

初戦敗退:ゆりやんレトリィバァ

前回の優勝者ですが、たぶん彼女はウケない可能性はあるけど「自分がやりたい」ネタを、今回はやりたかったんじゃないかなと思いました。とは言え、宮根さんの物まねを中心としたミヤネ屋のネタを1本丸々やるのは、さすがにエッジ立ちすぎだろ…と。

ただ、王道だけをやるのがお笑いではありませんし、ゆりやんの恐れを知らぬ笑いへの挑戦は嫌いではありません。1回目は勝つ可能性の高い戦略的な笑いを、2回目はピュアに自分のやりたい笑いを見せてくれたのは、さすが王者の立ち居振る舞いだと思ったのですがいかがでしょうか。

個人的に、年配の方に愛されそうな丸っこいフォルムとか、ベタベタの新喜劇の立ち回りとか、吉本は彼女に山田花子のポジションを期待している気がするのですがどうなんでしょう。

初戦敗退:紺野ぶるま

“地元では容姿を褒められ続けて上京した女”が帰郷して毒づくネタで勝負したのですが、「『AKBに入れる』は褒め言葉じゃない」など、ちょっと毒が強すぎて場に合いませんでした。悪意を面白がってくれるバラエティなら普通にウケたと思うんですが、まず「そこそこ良い容姿」というスタンスのネタ自体が、共感を得ることが難しいのかなと。個人的には好きですがエロネタの方が合ってると思うなぁ…。

初戦敗退:根菜キャバレー

ハイテンションとローテンションの組み合わせ。テンションだけ無駄に高い痛いネタが多くて見ていてつらかったです。お二人とも実力はあると思うのですが、このネタって「美人なら万引きも許される」とか切り口もよく分からないし、面白いのかちょっとよくわかりませんでした。

初戦敗退:吉住

実力あるんですが、ネタが…。政治家て!会場の人たちが笑うところに困っていました。風刺が含まれていて個人的には好きなネタなのですが、グランプリではもっと分かりやすいネタの方が良かったのかなと思います。正面を見据えてまっすぐに話すスタイルなので、盛り上がらない会場に一生懸命声を出していて、見ていて心が痛かったです。

初戦敗退:紅しょうが

関西で人気の女芸人さんだそうです。キャラも強いし漫才も上手で、初戦敗退はもったいない印象です。今回の参加者の中では、うまくまとまってたのと、またしてもイケメンなどの類似ネタが出てきてしまったので、結果的に印象に残りませんでした。やっぱり勢いのある漫才は、女性のキンキンした高い声より、少し低めの声の方が聞きやすいですね。

5位:あぁ~しらき

誰もが認める実力派のサンドウィッチマンが彼女を応援しているという紹介VTRだったので、「芸風は全く違う」と前置きはあったものの、期待値が高くなりすぎたのかもしれない。1回目のネタはまだしも、2回目のネタは下らなすぎるし何だかよく分からなかった。

ちょっとキワモノ系のキャラなので、No.1を決める場ではなく、ネタ番組だったらもっと感想は違ったのかも。

4位:合わせみそ

場数なのだろうか…

冷えた舞台で頑張っている若手感というか。空気感がもはやグランプリにはとても思えず、会場を笑いに持っていくほどの強さは感じられませんでした。イケメンやホストのネタも細かいリアリティとかが欲しかったかも。ボケも例えもピンと来ませんでした。

今回出場していませんでしたが、やっぱりおかずクラブって過剰なくらいの演技力とか間に力がありますね。

3位:ニッチェ

ガンバレルーヤよしこが病気になり辞退となって参加が決まったのだけど、いずれにしても全体のレベル感を上げるためにニッチェはいた方が良かったように思う。声量とか演技力とか間とかネタの完成度とか、実力を改めて感じました。

2位:横澤夏子

彼女らしい「あるある」ネタをふんだんに組み込んだネタ。その辺にいそうなはりきっちゃうお母さんを、得意の高いテンションとスピード感で押し切ってました。

ただ、どっちもお母さんネタだったので、ピンとこない人もいたのでは(ママ友のくだりとか)。片方は店員さんとか、タイプを分けても面白かったかもしれない。

1位:阿佐ヶ谷姉妹

今回は歌ネタじゃなくてコント(とは言え歌入ってたけどw)。おばさんコントだったのですが、劇団にいた彼女たちの実力なら、一方はダブルおばさんにして、もう片方は男女とか、役割を変えても面白かったんじゃないかなと思いました。

とは言えキングオブコントの準決勝まで行ってる実力者なので、安定のクオリティです。

全体的な感想

クスっとしてしまう芸風の方が多かったため、王者決定戦ならではの笑いの密度が感じられず、観客席もささやかに笑い声が聞こえる程度で、爆笑が起こったシーンがほとんどありませんでした。「面白くない」と評価されてしまった理由を考えてみます。

「女芸人No.1」という枠が無理筋

漫才、コント、ピンネタなど、他のグランプリはお笑いの型を決めて、ネタ面白さや技術を比較してNo.1を選ぼうとしています。それに比べてTHE Wは「女芸人」という属性で切ってグランプリを決めようとしているので、選ぶ基準が分かりません。

スポーツや音楽に例えると分かりやすいと思うのですが、「ゴルファーNo.1」「ベーシストNo.1」なら比べようがありますが、「女性アスリートNo.1」「女性アーティストNo.1」を決めるようなものです。

格闘技なら絶対的な「強さ」で決まるので異業種もアリですが、「笑い」という感性は人によって異なるので、「女芸人」という枠で「面白さ」ののNo.1を決めるのは無理がありすぎると思うのです。また、女性視点が裏目に出て、「容姿」「恋愛」のネタ被りも気になりました。

生放送に向いていない演出

お笑いグランプリのノウハウを持っていない(と思われる)日テレが作っているからなのかもしれませんが、ただでさえ参加者が緊張している中、喋りに慣れていないお笑い外のゲストを入れてみたり、ブレイクサポーターという謎のポジションを置いてみたり、変なWのポーズをさせてみたりと、テンポが悪くて寒さに磨きをかけるような演出が目立ちました。副音声の松ちゃんの一般人からのQAコーナーもひどかった。場をつなぐにしても他にやりようはなかったんでしょうか。

やっぱり、番組は編集されていた方が面白いものです。面白いシーンをテンポよくつないでテロップやワイプ、効果音で盛り上げ、面白くないシーンはすべてカットする。よっぽど実力のある、生放送に慣れている出演者ばかりなら話は別ですが、こういう変な演出入れるなら、緊張感は圧倒的になくなりますが、いっそのこと生放送は避けて編集で無駄なシーンはカットした方がいいのではないかと思います(編集=笑いを足すという意味ではありません)。

あと、「面白いボケコメントは滝沢カレンちゃんに」「的確な指摘はヒロミさんに」「女芸人のベテランということで清水ミチコさん」など、実に分かりやすいゲストの役割分担で、結果的にとても負担がかかっているように見えました。カレンちゃんと徳井さんとのやり取りが一番ホッとできて、笑いが起こっていたような気がします。

レベルに対する調整不足

「女芸人の日本一を決めるコンテスト」というコンセプトで、賞金や演出などはM-1と同じなんですよね。1,000万円という豪華賞金、有名なお笑い芸人がプッシュする紹介VTRと、フリは壮大なのですが、出場者の半数は知名度が低く、平均的な実力もM-1と比較するとそれほど高くはありません。

女芸人の母数が多くないのにM-1に無理やり格式を合わせた結果、M-1レベルを期待して見た観客から「顔ぶれが貧相」「面白くない」という評価になっているのだと思います。有名芸人だけでなく、知名度が低いところから名を上げるのがグランプリの面白さでもありますが、著しくバランスを欠いているから違和感があるのではと。

ツッコミ不在の構成

司会とゲストとブレイクサポーターが全員好意的な立ち位置なのも引っかかりました。副音声でダウンタウンの松ちゃんが入ってはいるのですが、謎の立ち位置なので切れ味もイマイチ。松ちゃんも司会の徳井さんもボケの方ですし、もちろん彼ら以外は誰もツッコミを入れないので、ネタが盛り上がらなくても「面白かったですね~」と、全体的に予定調和の空気が流れていました。

この予定調和の雰囲気が、会場の人もどこで笑っていいのか分からない原因だったのだと思います。

納得感のない対戦方式

実力を決めるのに、なぜか対戦方式なのですよね。普通に得点方式にしなかったのはなぜなのでしょうか。もし、実力派芸人が1回戦から当たってしまったら、1位と2位が取れるネタだったとしても、いずれか片方は初戦敗退となり、もちろん2回目のネタは披露できません。

そう考えると、この対戦方式も制作側の力学が働いているように思えて、お笑いだけに集中できませんでした。誰が採点するかはさておき、この方式は不公平しかないので絶対にやめた方がいいと思います。

今後のTHE Wに対して

個人的には、先に挙げた問題点だけでなく、性を切り出してコンテストするのも時流に反しており、大会の立ち位置に無理があるのかなと思います。男女問わず、漫才で勝ちたいならM-1、コントで勝ちたいならKOCなど、従来のコンテストで実力を競えば良いのではないでしょうか。

でももし今後もTHE Wをやるのなら、深夜に賞金100万円くらいで開催して(賞金は高い方が夢があっていいのですが、同額だとどうしても従来のグランプリと比べてしまうので…)、本音で突っ込んでくれる先輩芸人だけを置き、全力で戦ってほしいと思います。突込みからの返しで笑いが生まれる可能性もありますし、番組を見ている関係者も女芸人の個性や使い方が分かるきっかけになるかもしれません。

 

素人が偉そうに語りましたが、M-1もKOCも採点方式などトライ&エラーがあって現在がありますし、面白い芸人さんがこうした番組からたくさん出てくるといいな、と、心から思います。

純烈・友井雄亮の「ヒモ体質」と文春砲の功罪

昨年は何度もマスコミに取り上げられ、紅白出場を果たした純烈ですが、年明けに文春砲が炸裂してしまいました。

離婚、DV、妊娠と流産、ギャンブル、使い込みと、ダメ男を煮詰めたような過去の経緯。漫画やドラマでこんなキャラクターが登場したら、「嘘くさすぎるだろ」と思うくらい全部盛りな状況です。

会見では引退を表明していましたが、誤った対応の積み上げだったような印象を受けたので考察してみます。

女性に対して行った数々の暴挙

過去の経緯をまとめてみました。

2001年 「仮面ライダーアギト」に出演

2006年 勝村美香さんとデキちゃった結婚

2007年 「純烈」結成

2008年 離婚、ブログにDVを匂わす記述

2014年 A子さんと同棲開始、DV、妊娠、流産

2016年 破局、誓約書作成

2017年 交際相手B子さんの口座から3000万円を使い込む(うち1700万円は競馬)

2018年 各所に借金し、B子さんに返済

文春ではC子さんとの不倫も書かれていましたが、本人が会見できっぱり否定しているのでここでは省きます。

3000万円を2年程度で使い込むってすごいです。1700万円を競馬に使い、1回に70万円つかうこともあったとか。口座を共有して引き落としになっていたそうです。

B子さんは2人のお子さんがいるシングルマザーで、新居を建てたということなので、3000万円は家を買うために貯めていた資金だったのかもしれません。

誓約書に書かれていた内容

誓約書には日付と手書きのサイン、指での押印もされています。誓約書を作成して接触を禁止されたということは、別れる際に揉めたのだと思われます。

〈私、牧山雄亮(※友井の本名)はA子さんと結婚を前提に同棲生活をしている間に過激な暴力を振るい、頭、手首、太ももに大怪我を負わせてしまいました。(中略)度重なる浮気をし、あげく暴言を吐き(中略)ご両親と結婚するまでは子供を作らないと約束もしたのに、A子さんを妊娠させ、流産させてしまい、その傷ついた体と心に輪をかけるように「逆によかったやん」といたわる事もせず、ひどい言葉で深く傷つけてしまいました〉

流出した経緯はA子さんサイドではなく本人からです。A子さん自身は今回の騒動によって迷惑がかかっていると、代理人弁護士から発表がありました。

2019年の引退宣言までの経緯と対応の誤り

6日 文春が直撃「証拠あるんですか?」と完全否定

9日 公式ブログ「記事の内容につきましては、すでに解決にはなっております」

10日 A子さんの代理人から事務所に連絡が入る

   ブログ削除と訂正報道、文春発売

11日 謝罪会見

芸能人なのに証拠残しまくり

誓約書も金の使い込みも芸能人として活動している最中のことです。知名度が高くなれば、それだけ注目度も高くなります。噂レベルならうやむやにすることも可能かもしれませんが、誓約書とか口座からの引き落としとか、芸能人生命が絶たれるような決定的な証拠を残しすぎです。しかも誓約書はA子さんではなく本人所持から流出。一体、どこに保管していたのでしょうか。

なお、謝罪会見と芸能人引退は、ひょっとしたら文春砲の第二弾が控えているからだったのかもしれません。

直撃時の横柄な対応

会見では、文春の直撃に対して横柄な態度をしたことについて突っ込まれていましたが、「突然のことだったので気が動転した」と釈明をしています。誓約書という形で完全に証拠を残しているにも拘らず、よく完全否定できたなと思います。

真っ黒な状況なのであれば、ここではいったん対応せずに「すみません、改めて回答させていただきます」で逃げ切り、メンバーと事務所に相談すれば、今回の事態は回避できたように思います。A子さんサイドのリークではなかったわけですし。

勇み足だったブログ公開

文春砲が出ると分かって「すでに解決している」とブログを公開しましたが、これが命取りになりました。A子さん側から事務所に対して「内容が事実と異なっているので変えてほしい」と連絡があったのです。友井雄亮は、暴力と流産への暴言という行為を反省するでもなく「解決済み」と認識していたことが、A子さん側の反発を招きました。

事態を重く見た事務所が翌日に訂正したのですが、ブログ削除によって騒動が一回り大きくなりました。全てを事務所とメンバーに明らかにして、慎重な対応をすれば引退は免れたのではないかと思います。

純烈・友井雄亮の「ヒモ体質」

典型的なDV体質

会見で、暴力をふるったことについて、「傷つけたことは申し訳ないが、手を上げている自分もどこかで痛いんです。反省しながらやっていた。もう一人の弱い自分がいたことを反省している」と語っています。

女性に暴力を振るう人の特徴のひとつだと思いますが、暴力を止められない理由を「自分の弱さ」だとして、普段の自分と切り離して正当化するんですよね。そして「自分もつらい」という言い訳も、まったく反省していないことが分かる印象的な発言です。

恐らく、暴力を振るった相手に対しても同じようなことを言っていたのではないでしょうか。暴力を振るわれても、謝罪の言葉や弱み、つらい気持ちを吐露されたら、愛情が深いうちは「反省しているのだからDVは治るかもしれない」と考えてしまいますよね。恐るべきダメ男です。

なお、会見では「DVはA子さんだけか?」との問いに、「ほかにもあるかもしれない」と濁していました。日常的に手が出るタイプのようです。

金遣いの荒さ

そもそも2年で3000万円使うって異常です。スポーツ選手や大物芸能人でもなく、純烈を結成して10年、下積みでコツコツやってきたはずなのに…。しかも使い込んだ金をギャンブルで返そうとする発想がダメに輪をかけています。

口座を持っていた相手は子供が2人いるシングルマザーです。背景を知っていればさすがに良心が痛むところですが、人のお金を何の罪悪感もなく競馬に突っ込んでいます。

そして使い込んだ3000万円はあちこちから借金して返したとのこと。やっぱり純烈クラスだとまだそれほど収入が高くないのか、それとも稼いでも全部使ってしまう体質なのか…。返せるあてもなく、すぐ発覚するのも明らかなのに3000万円を溶かすことができるところに、ヒモとしての能力の高さが伺えます。

浮気癖

誓約書に「度重なる浮気」という記述があることから、交際相手に発覚している浮気が複数あったことが分かります。

今回の騒動が発覚した経緯が明らかになっていないのですが、少なくともA子さんのリークではないことは、代理人の「A子さん側も迷惑している」という発表でわかっています。B子さんもお子さんがいるということと、3000万円は返済済みとのことなので、わざわざ公にするとは思えません。

本人が持っていた誓約書が流出していることからも、おそらく手を出した女性の誰かが自分の素性や関係を控えることを条件に、文春にリークしたのではないでしょうか。

文春砲の功罪

サンジャポ」で池田美優が「文春砲で誰も幸せになってない」と話していましたが、今回はそんなことはないと思うのです。A子さんは今回の騒動でつらい思いをされているとのことなので、出すべきではなかったのかもしれませんが、これまで何人もの女性を泣かせてきた彼の悪行はずっと公にはなりませんでした。

初めからDVやギャンブル狂、浮気性を持つ男性と分かっていて付き合う女性はレアケースです。ヒモ気質の男は当初は一途さや繊細さ、優しさを見せて交際に発展させ、関係を解消できない状態になってから正体を現します。関係性が構築できてから本性を見せるので、「自分が悪いんじゃないか」「元の彼に戻るんじゃないか」など、冷静な判断ができず、悲しい想いをすることになります。

少なくとも今回の文春砲によって、今後彼と付き合うのはある程度の覚悟を持った女性だけになります。彼の本性が公になったことで、「悲しい想いをする」女性を未然に防ぐことができたのではないでしょうか。

引退後について

けじめとして引退宣言した友井雄亮ですが、とはいえ14歳からジャニーズ事務所に入所し、人生のほとんどを芸能人として過ごしています。1998年(18歳)でジャニーズ事務所を退所していますが、その2年後に芸能活動を始めて「仮面ライダーアギト」に出演しています。

2006年にも引退表明していますが、翌年には純烈に参加しています。引退表明はソースがWikipediaなので事実かどうかわかりませんが、この時期はめぼしい仕事もなく妻子ができたために、芸能以外の仕事に就こうと考えたのではないかと思います。

ただ、38歳で芸能活動から引退するのは茨の道しかありません。友井雄亮がジャニーズデビューした時の光GENJIのメンバーのその後を見れば明らかです。山本淳一は地方のバーで働きながら同居女性から二股交際を、妻からは金の使い込みなどを告発されています。赤坂晃覚せい剤所持で2回逮捕。大沢樹生喜多嶋舞との息子のトラブルで泥沼状態に。他のメンバーも芸能人として活躍しているとはおよそ言えません。

会見では引退後を問われて「何も考えられない」と回答していましたが、いずれにせよ何もないと思います。素性の分からない人間が寄ってきて、いいように名前を使われるのがオチじゃないでしょうか。脱退後も「『元純烈』が●●●!」と足を引っ張られるのなら、純烈の裏方を任せて監視していた方がユニットのためにはいいのかもしれません。失うものがない人間を荒野に放逐すると、どんな行動をするか分からないからです。

技術の未来を見通すのは難しい

30年前(平成元年)に、メーカーにワープロの未来について聞いたダイムの記事にコメントがついています。記事に対しての思いと、当時の空気感含めて振り返ってみます。

1989年のワープロとPCの立ち位置

この頃実家にワープロがありました。冷静に考えると何に使っていたのだろう?よく分からないのですが、世の中はワープロ全盛、そしてバブル真っただ中でした。

富士通「たとえば車の会社を考えてみてください。セダンをワープロとすれば、パソコンはトラックに相当します」

松下電器「5年前、パソコンの普及台数は100万台、今は120万台と伸びはゆるやかです。一方、ワープロは30万台が280万台にまで伸びています。この数字を見ただけでも、パソコン社会よりワープロ社会到来の方が早いと考える材料になります」

メーカー各社の先見の明のなさや、広報が売れ筋製品を否定できないポジショントークという指摘がありますが、実際のところどうなんでしょうか。

確かに、パソコン社会よりワープロ社会が到来しました。当時のPCは起動に時間がかかり、インターフェイスも分かりやすいとはお世辞にも言えず、価格もワープロの倍以上していたので、一般的ではなかったんですよね。

子供が遊ぶファミコンソフトなのに「コマンド?」ってそっけなく聞いてしまう「初代ドラゴンクエスト」の世界観を想像していただくとイメージしやすいかもしれません。富士通の方も、ハイパフォーマンスな業務用という意味で「トラック」という表現を使ったのではないのでしょうか。

当時のBtoC、BtoB

1989年からWin95が出る前くらいまでは、技術志向の強いお父さんがPCを買ってきたものの、いまいち使いこなせずゲームくらい…というご家庭が多かったように思います。何かを印刷しようとしてもプリンターが高額ですし。

その点、ワープロは便利でした。簡単起動でキー配列もインターフェイスもシンプル。プリンタ一体型なので、みんな大好き年賀状や、ちょっとした印刷物やお手紙も作れます。

それはビジネスユースも同様だったのでは。基本的に、営業活動は日報や見積もり、送付状などのシンプルな文書作成が中心です。当時はまだ記入式の請求書や見積書も一般的でした。ひな形をワープロで事務スタッフが作成して、プリンターで印刷する。それで事足りていたのです。

東芝「そんなこと誰が言っているのですか。パソコンとワープロはこれからますます共存共栄していきますよ。今はワープロとパソコンの台数がほぼ同数ですが、将来的には、ワープロ10に対してパソコン1ぐらいの割合になると思います」

技術系の仕事は当時からPCを使っていたと思いますが、いくらバブルとはいえ全社でPCを使うほど投資できる会社が一般的だったとは思えませんし、おそらく多くの従業員が使いこなせなかったでしょう。

ハイスペックPCを一部の技術者や研究職が使い、それ以外の営業やバックオフィス、コンシューマーはワープロで十分!という背景が、東芝の“10:1”発言にあったのでは。実際、20年以上経ってもポメラがヒットしたことからも、根本的な営業ニーズはあまり変化ないんですよね。

1995~2000年で変化した潮流

風向きを変えたのは、個人的にWin95とiMacのような気がしています。Win95の分かりやすいインターフェース、そしてスケルトンがかわゆいiMacが爆発的に人気になったことで、PCは一般の人にとっても“敷居の高いもの”ではなくなりました。

取材を受けた1989年時点では、こんなに早く一般に浸透するPCが出るとは想像できなかったのではないでしょうか。携帯電話も、スマホの前身となるW-ZERO3という存在がありましたが、PC同様にiPhoneの台頭で大きく流れが変わりました。優れたプロダクトが潮流を変えるタイミングというのがあるのだと思います。

 

なお、95やiMacが出たからといって大きく商習慣が変わるわけでもありませんし、オフィスでグラフィカルな操作ができるようになったのは、少なくともWin2000からです。95、98時代はしょっちゅうブルースクリーンが出て、複雑なExcelとかPPTファイル作ると危険でした。ビジネスでの書類のやり取りはFAXが中心でしたし、2000年くらいまではワープロで事足りる程度のシンプルな書類作成と表計算、ご家庭ではお手紙などが中心だったと思います。この5年を転換期として、同時にインフラもプリンタ性能も向上し、PCがすごい勢いでワープロを追い越していきました。

パソコンって、やっぱり複雑なんですよね

60歳過ぎてからパソコンを導入した父親は「ワープロ原理主義者」でした。マイコンピュータとマイドキュメントの違いが分からず、ディレクトリという概念を理解するのに時間がかかりました。

よしながふみさんの「きのう何食べた?」で、主人公の史郎さんが帰省した時に、お父さんが「パソコンのバー?みたいなものがどっか行った!」と泣きつくシーンがあります。まさにあるあるだと思いました。自分も頭を抱えたことは何度もあります。

 

メーカーの方の予想を覆し、ワープロを軽々と追い越したPCですが、特にtoCにおいてはスマホに置き換わられつつあります。PCは魔法の箱だと思っていましたが、スマホでメモも写真加工もお絵描きも決済も通信も音楽もゲームも翻訳も何でもできるようになりました。メーカーも撤退が続き、生き残っているのはビジネスモバイルかノートPCが中心で、デスクトップは少数派です。

iPhoneが出て10年ちょっと。未来を見通すのは難しいとつくづく思うのです。

キムタクと工藤静香の娘・Kokiのモデルデビュー、海外でも通用する?

キムタクと工藤静香の次女Koki(コウキ)がデビューして半年。今後の展開を勝手に予想してみます。

そもそも「モデル」という職業とは

容姿に自信のある女の子が憧れる職業は、かつては「アイドル」でした。けれどアイドルが活躍できるテレビの場が減ったにも関わらず、アイドルはグループ売りで量産されるようになり、戦国時代の様相を呈しています。もう普通に歌って踊れるカワイイ女の子、では誰も注目してくれません。なのに握手会などのファンサービスやSNSの営業活動などの地道な努力は求められるので、いつしか憧れの職業ではなくなってしまいました。

代わりに登場したのが「モデル」という職業。オシャレしてメイクやトレーニングで自分を磨いて雑誌を飾り、「カワイイ!」「スタイルいい!」と称賛され、海外で流行ってるオーガニックフードや体に良いオリジナルレシピを紹介し…と、自己顕示欲の高いオシャレ女性の“イイトコ取り”職業がモデルなのです。

 

しかし、日本人は欧米人に比較して体格が小さい傾向にあるので、ごく少数しか世界で通用するモデルはいませんでした。身長160センチしかなくても、顔が小さくて手足が長ければ、国内のメディアに使われるスチール写真なら見栄えします。

その結果、日本におけるモデルという職業は、ショーモデルではなく「日本のファッション誌に登場する」「テレビにモデルとして出る」ことを到達点としていることが一般的です。本来のモデルは「パリコレ」が目指す世界であるのに対し、多くの日本人モデルはパリコレなんてハナから目指しておらず、「東京ガールズコレクション」のランウェイをして「モデル」を自称しているように見えます。

なお、世界に通用するには身長175センチは必要だそうで、しかもパリには世界中からモデル志望が集まるため、それはもう厳しい世界だということが想像できます。

Kokiは海外でもモデルとして通用するのか

さてさて、Kokiですが…15歳でキムタクそっくり。とても可愛くて華があります。

身長170センチだそうで、国内では非常に恵まれたスタイルですが、「海外で通用するモデルを目指す」という割に身長は少し足りないです。ただし、ケイト・モスも15歳でデビューして170センチに満たなかったんですよね。ですから不可能なことではないのだと思います。

ただ、現在、海外で活躍している日本人モデルの顔触れを見ると、単純な美しさというより、独特の個性や東洋の雰囲気を評価されているように感じます。彼女たちは身長に恵まれた上に、高い表現力を身に着け世界で活躍しています。

 

比較すると、年齢が若いから仕方ない面もあるのですが、恐らくそもそも幼顔なんですよね…。シャネルやブルガリのアンバサダーに任命されたとたん「ハイブランドが合ってない!」と批判がありましたが、年齢だけでなく顔の幼さが原因のような気がします。

身体もとても細いので、重力を持つハイブランドのアクセサリーや服とのバランスが取れないんですよね。一番Kokiに年齢の近い福士リナちゃん(18歳)が、まさかの同じ服を着ていたので比較してみます。

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https://www.instagram.com/p/Bj6Oy9RhRel/?utm_source=ig_web_copy_link

https://www.fashionsnap.com/article/2018-05-28/ellejapon-koki/#lg=1&slide=0

なお、KokiがElle7月号(5/28)でリナちゃんが婦人画報(6/12)。婦人画報の担当者は、Elleのグラビア見てびっくりしたんじゃないでしょうか。

シャネルのドレス800万円、アクセサリー合わせて約1000万円です!

 

ボーダーのドレスにリナちゃんは帽子を、Kokiはイヤリングでマリンスタイルを意識しているのですが、やっぱりKokiは着こなしているとはとても見えません。もちろん、カメラマンや編集者も、モデルとしての表現力よりキムタクっぽい視線の強さが映える写真を選んだのかもしれませんが、いまのところ素材と話題性だけでやっている印象です(というか女装したキムタクのようだ…遺伝子ってすごい)。

しかしリナちゃん、これで18歳ですよ!キレイとかカワイイとかじゃない、「かっこいい」。誰が見ても、リナちゃんの姿に惹きつけられるのではないでしょうか。

写真でもこんな感じなので、動きを求められるランウェイは当面厳しいのでは、と思ってしまいます。まあ、そもそも彼女の目指す「モデル」が何を示しているのか分からないので何とも言えませんが。

今後の展開について思うこと

Kokiが日本のタレントの威光が届かない、海外のトップブランドのショーや雑誌の表紙を飾るのはやっぱり難しいんじゃないかなと思います。ただ、日本人デザイナーのフランスでのコレクションならコネと話題性で出られるような気がするので、「海外でもモデルで活躍(日本人デザイナーのブランド)」「ハイブランドのモデル(日本のアンバサダー)」がいい感じの落としどころなのでは。

海外はちょっと厳しい感じがしますけど、華もあるし身長も国内では高い方なので、ある程度制限しながら活動すれば、国内の雑誌の表紙はいくらでも飾れそうです。結婚したらミセスとして、子供ができればママとして、いい感じに長くモデルとして活躍できるのではないでしょうか。

 

そういえば、10代で挙動が常に騒がれる超有名人の二世で、フランス語も喋れてハイブランドのアンバサダーを務めてて、眼光が鋭くて写真映えするタレント…ということで、リリー=ローズ・デップに似てますね。彼女も僅か身長160センチにも関わらずモデルとして活動しています。そのうちKokiも女優や歌手活動するのかもしれません。

ゴッドタン「ヤバい若手芸人」とナイチンゲールダンス

話題になっていたのでメモ。

ブコメ見ると、ナイチンゲールダンスのヤスさんでは?となってる。お笑いは詳しくないけど、こないだゴッドタンで見たのでその時の感想含めて所感を。

ゴッドタン「ヤバい若手芸人」とは?

2013年9月からやってる、ジジイ芸人であるおぎやはぎ劇団ひとりに注目の若手芸人を紹介するコーナー。第1回目の冒頭で「若手が『こいつは天才だ!』と一目置かれる芸人」として紹介されたのは、三四郎の小宮さん。

この放送の直前に小宮さんは足を骨折して歯を折ってしまい、車いすで登場。ツッコミが全く機能していなかったけれど、レギュラー三人からの質問に対していちいちイライラするようなコメントを返し、小木さんからは「うるせえな」、矢作さんからは「すごいむかつく」、そして劇団ひとりさんから「悔しいけどすぐ売れると思う」と評価されました。スタッフの方からも評価が高かったようで、2カ月後に「第二の劇団ひとりオーディション」、その半年後に「スランプ芸人救済SP」でも声がかかり、それぞれしっかり結果を出して他の番組にも呼ばれるようになっていきました。

なお、第1回目の他にはセルライトスパルシファー吉岡、そしてのちにキングオブコントの王者に輝くライス、エル・カブキ、グランジ(佐藤)が紹介されています。そして第2回目にはおかずクラブが紹介され、しっかり爪痕を残した結果、こちらも他の番組に呼ばれるようになります。

2018年「ヤバい若手芸人」はどうだった?

さて、例のナイチンゲールダンスが紹介された2018年の「ヤバい若手芸人」ですが、「こいつは天才だ!」部門ではネガティブなネタが特徴の宮下草薙、「バラエティで売れそうな芸人」部門では3位があがすけ、2位がきしたかの、1位がEXITでした。

「見逃せない女芸人」部門2位がニッキューナナ、1位がソノヘンノ女、「とにかくヤバい芸人」部門2位はハナイチゴ(関谷)、そして1位が例のナイチンゲールダンス(ヤス)だったのであります。

宮下草薙はネガティブな発言がウケてましたが、きしたかのは出だしの声の大きさを誤ってしまい、しかもツッコミも噛んで、このコーナーの常連コメンテーターであるK-PROの児島さんに的確なダメだしをされてしまいます。でもこの番組では、こうした側面からキャラクターを見出される傾向が強く、ストレートにうまくいけば成功というわけでもありません。

あがすけはくりぃむナンチャラでも拝見したことがありますが、パリピっぽいビジュアルなのにツッコミどころ満載なんですよね。3回も繰り返しネタを披露し、最後にしっかり笑いを誘っていました。

そして今回の「ヤバい若手芸人」で一番の出世頭はEXIT。渋谷チャラ系芸人のはずなのですが、質問されても上手にチャラく答えられずあっさりと素の性格の良さが出てしまい、後半に登場したハナイチゴ関谷に対してひとりさんが「ぜったいEIXTに手を出すなよ!近づくな!」と釘を刺すくらい好感を得ていました。その後、すぐに「スナック眉村ちあき」に呼ばれてまたハマり、直後におはスタにも呼ばれるようになります(しかも連続で)。さらに「ジジイ芸人」にも呼ばれる快進撃。ひとりさんから「お前ら出来るもん」小木さんから「真面目だしね」と大絶賛でした(チャラ系キャラに対してのイジリもありますが)。

どちらも相方さんの不祥事で解散した背景から、コンプライアンスを厳守する安心感、しっかりしたネタ、ビジュアルの良さと好感度など、2019年は三四郎おかずクラブのようにあちこち呼ばれるのではないでしょうか。

ニッキューナナは、質問に対してトボけた回答をして小木さんに「うるせぇよ」、劇団ひとりさんに「俺、お前合わない」と評価されていました。これって三四郎小宮さんの時と同じような反応なんですよね。感触は良かったのではないでしょうか。ソノヘンノ女は、その安っぽい芸風がキャッチーだからか、その後も番組に呼ばれています。ハナイチゴは有田ジェネレーションでも評価されていましたし、この番組でも上手に立ち回っておられました。

ナイチンゲールダンスの所感

学生M-1優勝、学生R-1優勝、NSC主席の実力派でもあり、ヤスさんに対して「去年から今年にかけて一番噂になった若手芸人」「人を束ねる力がある」とK-PROの児島さんは紹介されていました。見るからに新宿スワンに出てきそうな尖った雰囲気です。

しかし、ヤスさん押しで出てきたはずが、挨拶直後の矢作さんの「尖ってる方?」という質問に対して、相方の中野なかるてぃんさんがガタガタ言い出し、「作りものみたいな顔してるね」と相方に流れが向いてしまいます。アルコ&ピースナイチンゲールダンスの武勇伝を披露し、ようやくゆにばーすの川瀬さんとのバトルについてヤスさんが見せ場を作れるところだったのですが、「ケンカっすよ死ぬまで」という本当に尖った対応に困る返しのみでした。やり取りまでリアル新宿スワンです。

その後はまた中野なかるてぃんさんがガタガタ口を挟んだおかげで、小木さんから「なんだよお前」と突っ込まれて中野さん中心で見せ場は終わってしまいます。1位だったのにネタの放送もありませんでした。キャラクターのPRはできたような気がしますが、お笑い芸人として「番組に呼びたい」と思われるかどうかというと、どうなんでしょう…というか、ヤスさんに面白い見せ場はなかったです。

今後は…

Note見ると、立ち回りの上手な方なんだなという印象を受けます。また、憧れる人がいるのも分かるような気がします。

 俺はNSCはネタの内容じゃなくて立ち回りで首席を勝ち取ったんだよ。

(中略)

大体何かを成す時には自己分析から入る。みんなもそうだよね?

ただやっぱり、「お笑い芸人として売れる」という観点で言うと、いまの尖り芸人のスタンスは難しいんじゃないかなぁと思うのですよね。

芸人さんの大御所であるとんねるずダウンタウンも、若い頃はとっても尖ってました。東京のスタイリッシュな“芸能人感”を帯びたとんねるず、熱狂的な人気の超実力者だったダウンタウンは、昭和のバブリーな時代の勢いに乗り、新しい若手芸人の台頭として視聴者に憧れを持って受け入れられました。怒鳴りながらカメラ機材壊したり、お客さんに罵声浴びせたりしてましたよね。

いまはテレビを見る人が減り、SNSスマホゲーム、YOUTUBEなど、手軽に気分が良く過ごせる方法を選ぶことができます。コンプライアンスにも厳しい時代なので、わざわざテレビ観てオラついてる出演者が出たら、視聴者は速攻でチャンネルを変えるでしょう。

若手で言うと、三四郎の小宮さんも「この若手~」に最初に出た時は“生意気キャラ”でした(尖りとはちょっと違いますが…)。2回目の「劇団ひとりオーディション」でもキャラを通そうとしていたのですが、素が出てしまって“童貞キャラ”をいじられることになります。この頃は他の番組でも言葉遣いが悪く、先輩に生意気な口を利いてましたが、だんだん角が取れて現在は真面目で毒舌のポンコツキャラとして重宝されています。

千鳥の大悟さんも昔はとても尖っていて、M-1の敗者コメントで「テレビに出るのはこれで最後かな~(ピースピース)」と対応に困る発言をして、その後オファーがまったくなかったそうです。大悟さん曰く、「テレビに出せないヤツだと判断された」とのこと。

現在の芸人さんのテレビでの活躍の場とは、主にロケかひな壇、先輩の番組のゲスト、そしてネタ番組です。ネタの面白さだけでなく、ロケで一般の方とコミュニケーションを取ったり、ひな壇や先輩の番組で場の流れと自身の役割を読んだ立ち居振る舞いが求められます。それには、先輩や番組制作者にも認められる必要があり、ただただ尖っているだけでは怖くて使うことができません。 

 

けれど、みんなが同じキャラクターになればいいという話でもないし、そもそも2年目でテレビに出られること自体、とても立ち回りが上手なのだと思います。オラオラを上回る圧倒的な面白さや、共感または応援したくなる“隙”みたいなものがあれば、尖りスタンスも受け入れられるのかもしれません。

もしテレビでも花を咲かせるのであれば、登場したゴッドタンのように、オラオラでカリスマ性があるというキャラ付けなんだけど、美味しいところは全部相方が持っていく、「あれ?」みたいなスタンスがいいのかな?

――ここまで書いていて気がついたのですが、「彼らのトリセツ」として番組の制作者がそういう編集をしたのかもしれませんね。